カプセル内視鏡検査(小腸カプセル内視鏡検査・大腸カプセル内視鏡検査) capsule-endoscope
カプセル内視鏡とは
カプセル内視鏡は、従来の上部・下部消化管(大腸)内視鏡検査とは異なり、細長いスコープを使用せずに行う新しい検査方法です。患者さんが飲み込むカプセル型のカメラ(長径:2.5cm)が消化管を通過していく過程で、主に小腸や大腸の内部を撮影します。(胃は内腔が広いため、撮影はされますが撮影範囲が限定的となり、十分な検査とは言えません)小腸カプセル内視鏡検査は、ほかの検査(上部消化管内視鏡、大腸内視鏡、CTなど)を行い、胃や大腸に病気がなく、小腸に病気がある可能性が疑われる方が検査適応となります。大腸カプセル内視鏡検査は、通常の大腸内視鏡検査の際挿入困難であった方、また何らかの腹部手術の既往があり内視鏡挿入が困難と想定される方などが検査適応となります。小腸カプセル内視鏡は、スコープを飲み込むことなく、比較的楽に小腸をおおむね観察できることが特徴です。大腸カプセル内視鏡は、カプセル服用後に、通常内視鏡検査より多めに腸管洗浄剤を服用いただき、カプセルが排出されるまで3-4時間クリニックに滞在いただく必要があるものの、通常内視鏡の挿入時の苦痛がないことが特徴です。
小腸カプセル内視鏡検査
小腸カプセル内視鏡とは(小腸バルーン内視鏡との比較も含め)
小腸カプセル内視鏡は、特に小腸を詳しく検査する目的に開発された内視鏡検査です。小腸は、従来の内視鏡検査では観察が困難な部位であり、CTなどでも潰瘍などは発見が困難です。このカプセルを使用することで詳細な炎症、出血、潰瘍、腫瘍、血管異常などの所見が得られます。特に原因不明の腹痛、下血、黒色便、下痢、貧血、体重減少などが続く場合に適した検査です。原因不明の消化管出血の診断や早期診断の難しいクローン病の治療効果の高い初期段階での発見などの場面で力を発揮します。
※近年、小腸をスコープで観察するためにバルーン型内視鏡検査も開発せれ、実用されています。バルーン型内視鏡は、小腸は3~4mと長いため、小腸全域を観察するためには、まず肛門からスコープを挿入し、小腸下半を観察し、観察できた部位に印をつけます。その後普通は日を変えて口からスコープを挿入し小腸上半を観察、経肛門挿入時につけた印の部位に到着すれば小腸全観察となります。カプセル内視鏡検査と比較すると鮮明な画像が得られますし、より小腸内をくまなく観察でき、病変がみつかった場合止血やpolyp切除、生検といった処置がその場でできる大きなメリットがあります。一方、検査手技が容易でない、被検者に負担がかかる(通常は鎮静を行って施行)、時間がかかる、通常は病院に入院が必要などデメリットもあります。
状況により変わってきますが、通常はスクリーニング検査としてより負担の少ないカプセル内視鏡検査を先行して行い、病変の必要度を鑑み精密県としてバルーン内視鏡を行うといった使い分けを行います。
小腸カプセル内視鏡の流れ
小腸カプセル内視鏡検査は比較的容易な検査です。
前日の夜、検査準備として消化の良い食事を取り、その後は水分摂取を制限します。
前日の夜、検査準備として消化の良い食事を取り、その後は水分摂取を制限します。
検査当日朝自宅にて少量の消化管洗浄液を1L服用。
9時ころにクリニックにてカメラが内蔵されたカプセルをコップの水で飲み込みます。同時にレコーダーを装着して帰宅。通常の生活(軽食可能です)を送りつつ、カプセルは消化管を通過しながら内蔵カメラで自動的に画像撮影し、画像はreal timeに体外に装着したレコーダーに保存されます。16時ころにクリニックに来院いただき、レコーダーのモニターにてカプセルが大腸まで進んでいることを確認できれば、レコーダーをはずし検査終了、帰宅いただきます。レコーダーに保存された画像は医師が解析し、後日結果を外来にて結果報告いたします。カプセルは個人差がありますが1~2日後に自然に体外に排出されます。
小腸カプセル内視鏡のメリット・デメリット
【メリット】
スコープを飲み込む苦痛がない。身体的負担が少ない。
【デメリット】
治療手技はできない。
カプセルは1回限り使用のため、高価となる。
大腸カプセル内視鏡検査
大腸カプセル内視鏡とは
大腸カプセル内視鏡は、大腸のポリープや腫瘍などの異常を調べるために行われます。
通常の大腸内視鏡検査の挿入が困難で苦痛が強かった方、また何らかの腹部手術の既往があり内視鏡挿入が困難と想定される方などが検査適応となります。従来の大腸内視鏡検査に抵抗を感じる方や、鎮静剤を使用しない方法を希望する方は遠慮なくご相談ください。
病気の発見率は通常の大腸内視鏡に比べ、ほぼ同等とされています
通常の大腸内視鏡検査の挿入が困難で苦痛が強かった方、また何らかの腹部手術の既往があり内視鏡挿入が困難と想定される方などが検査適応となります。従来の大腸内視鏡検査に抵抗を感じる方や、鎮静剤を使用しない方法を希望する方は遠慮なくご相談ください。
病気の発見率は通常の大腸内視鏡に比べ、ほぼ同等とされています
大腸カプセル内視鏡の流れ
前日の夜、腸内をきれいにするための下剤を服用します。
検査当日朝自宅にて腸管洗浄液を1L服用。9時ころにクリニックにてカメラが内蔵されたカプセルをコップの水で飲み込み、同時にレコーダーを装着。その後、カプセルをなるべく早く肛門より排出できるよう、腸管洗浄液、下剤、ゼリー状飲料など1.5L以上服用いただす。早い方で12時ころ、時間のかかる方で15時前頃にカプセルが排出されます。カプセル排出されればレコーダーをはずし帰宅いただきます。レコーダーに保存された画像は医師が解析し、後日結果を外来にて結果報告いたします。
検査当日朝自宅にて腸管洗浄液を1L服用。9時ころにクリニックにてカメラが内蔵されたカプセルをコップの水で飲み込み、同時にレコーダーを装着。その後、カプセルをなるべく早く肛門より排出できるよう、腸管洗浄液、下剤、ゼリー状飲料など1.5L以上服用いただす。早い方で12時ころ、時間のかかる方で15時前頃にカプセルが排出されます。カプセル排出されればレコーダーをはずし帰宅いただきます。レコーダーに保存された画像は医師が解析し、後日結果を外来にて結果報告いたします。
大腸カプセル内視鏡のメリットとデメリット
通常のスコープを使用した大腸内視鏡検査と比較して大腸カプセル内視鏡のメリットとデメリットをご説明いたします。
【メリット】
大腸カプセル内視鏡は、従来のスコープによる大腸検査と比較して、「挿入時の痛みや不快感がほとんどない」ことが最大の利点です。スコープが身体に入ることに抵抗がある方、鎮静剤の使用に不安がある方、あるいは以前の大腸内視鏡で強い苦痛を感じた経験のある方、腹部手術の既往のある方には特に適した方法です。また、外来で検査が可能で、日常生活への影響も少ない点も支持されています。
【デメリット】
一方で、治療を同時に行うことはできません。たとえば、ポリープの切除や止血処置など、治療的な処置が必要になった場合には、後日改めて通常の内視鏡検査を受ける必要があります。また、腸管洗浄の負担が大きく、検査時に下剤や洗浄剤を通常内視鏡よりは多く服用いただく必要がある場合が多くなります。さらに、カプセルは使い捨てであり、検査費用は通常内視鏡に比し高額となります。
カプセル内視鏡に関するよくある質問
カプセル内視鏡で見つかる病気は?
カプセル内視鏡は、様々な消化器疾患の診断に役立ちます。
ポリープ
小腸や大腸にできるポリープを発見できます。ポリープは悪性化する可能性があるため、早期発見が重要です。
クローン病
消化管に慢性的な炎症を引き起こす疾患で、早期発見はCT検査などでは困難な場合が多いです。小腸カプセル内視鏡で早期診断が可能となります。早期発見できれば、治療効果向上につながります。
消化管出血
原因不明の出血の原因を特定でき、治療方針の決定に役立ちます。
小腸や大腸にできるポリープを発見できます。ポリープは悪性化する可能性があるため、早期発見が重要です。
クローン病
消化管に慢性的な炎症を引き起こす疾患で、早期発見はCT検査などでは困難な場合が多いです。小腸カプセル内視鏡で早期診断が可能となります。早期発見できれば、治療効果向上につながります。
消化管出血
原因不明の出血の原因を特定でき、治療方針の決定に役立ちます。
腫瘍(がんなど)
悪性腫瘍を早期に発見し、適切な治療を開始するための有効な手段です。
カプセル内視鏡ってどれくらいかかる?(カプセル内視鏡の費用について)
カプセル内視鏡検査の費用は、検査部位(小腸または大腸)、保険適用の有無、医療機関の設備や地域によって異なります。
なお、診療報酬や検査の流れは変更される可能性があるため、正確な費用については、必ず医療機関に直接確認することをおすすめします。
なお、診療報酬や検査の流れは変更される可能性があるため、正確な費用については、必ず医療機関に直接確認することをおすすめします。
検査内容 | 保険1割負担 | 保険3割負担 | 自費診療 |
---|---|---|---|
小腸カプセル内視鏡 | 9400円ほど | 28200円ほど | 94000円 |
大腸カプセル内視鏡 | 10000円 | 30000円 | 100000円 |
※カプセル内視鏡の費用は、保険適用の場合と自費の場合で異なります。
※血液検査などの検査費用は含まれておりません。
カプセル内視鏡を流してしまったら?
カプセル内視鏡は、体内で自動的に排出される仕組みになっているため、「流してしまった」と思うことがあっても基本的には問題ありません。排出のタイミングは個人差がありますが、通常は1~3日程度に便と一緒に自然に体外へ出ます。ただし、排出を確認できない場合や、もともと腸管の通過障害や狭窄が疑われる方は注意が必要です。
排出されたかどうかは、便を確認するか、必要に応じて腹部X線や画像診断でチェックすることができます。カプセルが体内に長期間残ると、まれに腸閉塞を引き起こすことがあるため、72時間を超えて排出が確認できない場合には、速やかに医療機関へ相談しましょう。
カプセル内視鏡は飲み込めない?
ごくまれに、カプセル内視鏡をうまく飲み込めない方もいらっしゃいます。特に高齢者や嚥下機能に不安のある方では、カプセルのサイズ(長径約26mm、直径約11mm)がネックになることがあります。しかし、検査前に嚥下機能に問題がないか確認されるため、無理に飲み込むことはありません。
どうしても飲み込むことができない場合には、胃カメラなどの内視鏡機器を用いて、医師がカプセルを十二指腸まで挿入する対応が可能です。飲み込みに不安のある方は、事前に医師に相談することで安全に検査を受けることができます。
どうしても飲み込むことができない場合には、胃カメラなどの内視鏡機器を用いて、医師がカプセルを十二指腸まで挿入する対応が可能です。飲み込みに不安のある方は、事前に医師に相談することで安全に検査を受けることができます。
カプセル内視鏡は失敗する?
カプセル内視鏡検査が「失敗」するケースは非常に稀ですが、以下のような状況が起きることがあります。
【CASE 1】消化管内にカプセルがとどまり、排出されない
腸閉塞や狭窄などの構造的な問題がある場合、カプセルが停滞することが稀にあります。これを「カプセル停滞」と呼びます。対処としては、医師の判断により内視鏡で取り出す、あるいは手術が必要になることもあります。
【CASE 2】画像が十分に撮影されない
腸管が洗浄不十分である場合、便や泡が邪魔になり、内部の様子が正確に確認できないことがあります。そのため、検査前の下剤の服用や絶食の指示を守ることがとても重要です。
【CASE 3】途中で電池が切れてしまう
撮影時間の限界(約8~12時間)を超えても排出されない場合、カプセルの電池が切れ、腸の奥まで記録されないことがあります。
腸閉塞や狭窄などの構造的な問題がある場合、カプセルが停滞することが稀にあります。これを「カプセル停滞」と呼びます。対処としては、医師の判断により内視鏡で取り出す、あるいは手術が必要になることもあります。
【CASE 2】画像が十分に撮影されない
腸管が洗浄不十分である場合、便や泡が邪魔になり、内部の様子が正確に確認できないことがあります。そのため、検査前の下剤の服用や絶食の指示を守ることがとても重要です。
【CASE 3】途中で電池が切れてしまう
撮影時間の限界(約8~12時間)を超えても排出されない場合、カプセルの電池が切れ、腸の奥まで記録されないことがあります。
これらの可能性を最小限にするために、検査前の問診・準備が丁寧に行います。
不安な点は事前に医師と相談しましょう。
不安な点は事前に医師と相談しましょう。
カプセル内視鏡の排出時間は?
カプセル内視鏡が体外に排出されるまでの時間は、検査内容や個人の腸の動きによって異なりますが、通常は1日から2日以内に自然に便と一緒に排出されます。早い方では10時間以内に排出されることもあります。
検査中に排出されない場合でも、一定時間経過後には排出されるケースが大半です。ただし、72時間以上経っても排出が確認できない場合や、腹部の違和感、吐き気、嘔吐、激しい腹痛などの症状がある場合は、速やかに医療機関へ連絡してください。画像診断でカプセルの位置を確認し、必要な処置を行うことができます。
検査中に排出されない場合でも、一定時間経過後には排出されるケースが大半です。ただし、72時間以上経っても排出が確認できない場合や、腹部の違和感、吐き気、嘔吐、激しい腹痛などの症状がある場合は、速やかに医療機関へ連絡してください。画像診断でカプセルの位置を確認し、必要な処置を行うことができます。